狙いは「官の自己増殖」の死守だ。一例をあげれば、新しい構造チェック手法「適合性判定」の導入で、審査を請け負う(財)日本建築センターなどには年間数十億円が手数料で流れ込む。日本建築センターは理事長以下、国交省OBの役員がずらりと並んでいる。法律がとめどもなく増殖すれば、それに伴い利権の卵は次々と孵っていく。二〇〇九年春、偽装事件に巻き込まれたMさんのマンションは建て替えられた。近隣の住民から「さっさと解体しろ」と罵声を浴びせられた建物は消え、デザインも形も一新された。
[参考情報]
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久しぶりに「わが家」に戻った人たちは、幼い子どもを持つ家族を中心に「再会」を祝して、ささやかなピクニックを催した。遊園地で一日過ごし、腹の底から笑った。だが、日常に戻れば、ずっしりと重い十宇架が背中に食い込む。Mさんには元の三千六百万円に加えて新たに二千万円余の住宅ローンがのしかかる。家族は体調を壊したままだ。Mさんは、偽装に翻弄された日々をふり返る。「長かったです。まあ、打たれ強くなりました。もう少々のことでは動じませんね。でも、なんで日本の住宅金融はノンリコースじゃないのか、未だに不可解でなりません。金融機関の判断ミスのツケも全部借り主が負う。右肩上がり時代の金融モデル。国民所得が減っていくのに、どうして政府は手を打たないのですかね。渋谷で、何もしてないのに古い家が壊れましたね(〇八年八月二六日、渋谷区代々木上原の築約八〇年の木造住宅が老朽化で自然倒壊。八〇歳と七四歳の姉妹は無事逃げ出した。近所の主婦は「以前から扉や柱が歪んでいて、いつ倒れるか心配だった。壊れたときはダンプカーが一度に砂利を落としたようなすごい音と地響きがした」)。あんな話を聞くと、ちょっと待てと思う。国はマンション潰すよりも、やらなきゃいけないことあるでしょ」