ニュータウンは「男は会社、女は家庭」の性別役割分担がはっきりとした空間である。時間帯による人口の違いもある。会社員である男性のニュータウン滞在時間は、週末と週日の夜間に限られる。男性は定時制市民、あるいは夜間市民と呼ばれていた。nLDKの「リビングのある家」のn=家族数マイナス1、その1は夫であるといわれた。3LDKに夫婦と子ども二人の場合、住まいの所有者である夫が個室をもつことは少なく、子ども部屋二つと夫婦の寝室という分配が起こる。
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妻もまた個室をもたないとしても、彼女は夫と子どものいない昼間時間に住まいの全体を占有しているかのごとくに見える。夫は会社と家庭の中間に自分だけの空間と時間が欲しいと願い、妻は家庭の外に自分だけの生き甲斐が欲しいと思う。子どもは?子どもは昼間は学校に、夜は塾に通わなければならない。NHKが持続的に実施している国民の生活時間調査によれば、持ち家の時代になるにつれて、住人の住まい滞在時間が短縮される傾向がみられる。なんという矛盾。今や住宅にほんとうに住むのは、高齢者だけであるのかもしれない。ところが入居開始後三〇年、四〇年になった今になってみると、公団住宅もニュータウンも高齢者のための配慮がほとんどない空間設計なのであった。