「すきだらけ」の本領発揮

2011.11.19

考えてみればこれは鉄と石との織物そのものであった。縦糸と横糸とを交互に一本ずつ織りこんでいってはじめて、緊結されて、地震によってもほぐれることのない織物が完成するように、ここでは石と鉄とをほぐれないように織り込んだのである。織物が強くあるためには、縦糸と横糸とは、このようにひとつずつ順番に、織り込まれていくのである。古い三つの石蔵のうちのひとつを残し、その一枚の壁を、この「不純」な壁を用いてやりかえた。

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残りの二つの蔵は一旦解体し、いい具合に年季のはいった蔵の大谷石を再加工し、鉄板と組みあわせた。孔は光や風を通すだけでなく、建築にやさしさと親しみを与える。石だけを積んだ重たい壁は、倉庫や教会にはいいかもしれないが、田んぼの中の小さな駅の、駅前広場には少し重すぎる。壁にあけられた無数の孔と、何十年もかかってついた見事な汚れとが共振した。大谷石は切り出された地のすぐ近くの地元で、見事にその「すきだらけ」の本領を発揮した。「すきだらけ」な石は、地元にずぽっとはまって、素敵な風がその隙間を流れている。





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