ホテルが空間的モデルになった

2011.11.11

空間の発明においては、完全な独創というのはまず存在しない。ある空間モデルがすでにあって、その用途の変更を称して、われわれは空間の発明と呼んでいる。例えばローマの大浴場がモデルとなって、近世の大規模な駅舎空間が発明された。ワンルームマンションのモデルとなったのはホテルの客室、それもビジネスホテルクラスの狭小な客室である。入口を入ると細い通路があり、その脇にバス・トイレ・洗面所一体型のユニットバスが配置され、その通路の奥に6畳程度の広さの部屋(ワンルーム)が存在する。

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これはビジネスホテルの客室とまったく同じプランニングである。そしてさらに興味深いのは、この空間が単にホテルの客室をモデルにしているということだけではなく、ホテルの客室との類似性が、あたかも念を押すようにして、様々な手段で強調されているという事実である。例えばカタログにおけるユニットバスの強調。ユニットバスは日本においてホテルのメタファーとしての機能を担っている。さらにグラビアには、広角レンズによって思いっきり引き伸ばされた室内の情景が写し出され、そこにはホテルのシングルルームと同じようにベッドがレイアウトされ、その上に大抵の場合若い女性が腰かけている。ワンルームマンションのカタログは、多少の文字の差し換えだけで、ビジネスホテルのパンフレットにも転用できてしまうのである。ではなぜワンルームマンションはホテルを空間のモデル(アルキタイプ)とし、かつそのモデルを執拗に強調しなければならないのか。





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