昭和四八年の第一次オイルショック以降、省エネ化を目指す行政指導が始まり、住宅にもグラスウールをはじめとする断熱材が多用されるようになりました。天井裏や壁の空洞の中に断熱材を入れるのですが、じつは、この壁の中の空洞は昔の家にはなかったものです。まえにも述べたように、昔の家の壁は、竹で作った下地の上に壁土を厚く塗り上げたものでしたが、昭和三〇年代以降は、壁の造り方がまったく変わったのです。内側は、石膏ボードを貼り、その上に左官屋さんが仕上げ材を塗り、外側は「きずり」という小幅の板を渡しかものに、直接モルタルを塗って外壁にするという方式がとられるようになったからです。つまり、柱の両面に薄い壁をつけるという工法です。それまでの上塗り壁は、中身が全部詰まっていたのに対して、ころもだけで中身がないということから、いわゆる「天ぷら工法」と呼ばれるものです。このときから、日本の住宅には、壁の中に、柱の厚みの分二〇五ミリまたは二一〇ミリだけの空洞ができるようになったのです。この空洞により、家の中の空気は、床下から小屋裏(天井から屋根までの空間)までひとつづきになったのです。そして、この空洞に断熱材が入れられるようになったわけですが、現在、住宅金融公庫融資の融資基準になっている厚さ五〇ミリの断熱材では、断熱性能はほとんど発揮されません。一〇五ミリある壁空洞の中を、厚さ五〇ミリだけ断熱するわけですから、あとで述べるグラスウールの施工不良ともあいまって、壁の中の通気によって、断熱効果が出ないのです。しかし、この通気があるということは、じつは建物にとってはたいせつなことなのです。ですから、五〇ミリのグラスウールはほとんど断熱の役立たないことでかえって、住宅の耐久性にも悪影響を与えないですんだのです。
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